こんにちは。看護師の花井です。
ご存じのように、車いすや介護ベッドなどの「福祉用具」は、介護保険が利用でき、要介護者の状態の軽減や悪化を防ぐとともに介護者の負担を軽減させてくれます。
入居者様の心身の状況、希望およびその環境をふまえたうえで、適切な福祉用具を選定し、使用することは施設運営においてとても大切です。
しかし、福祉用具は、用途に合わせてたくさんの種類があるため、どうしてもケアマネージャーや福祉用具専門相談員にお任せになりがちです。
本日は、最低限知っておきたい「福祉用具(介護用品)」の種類と用途についてお話させていただきたいと思います。
介護保険でレンタルの対象となる福祉用具貸与の対象13種目
まず押さえるべきは、介護保険でレンタルの対象となる福祉用具です。13種を列記します。
対象介護度:要介護2~5
<車いす>
自走用・介助用車いす、電動車いす・電動四輪車
<車いす付属品>
車いすクッション、姿勢保持用品、電動補助装置など車いすと一体的に使用されるもの
<特殊寝台(介護用ベッド)>
サイドレール(ベッド柵)付き又は取り付け可能なベッドで、背上げ又は脚上げ機能、もしくは高さ調整機能が付いたもの
<特殊寝台付属品>
マットレス、サイドレール、立ち上がりをサポートするL字型ベッド柵など特殊寝台と一体的に使用されるもの
<床ずれ防止用具>
体圧分散効果をもつ床ずれ防止用の静止型マットレス、エアマットレス、ウォーターマットレス
<体位変換器>
起き上がり補助装置、寝返り介助パッドなど要介護者の体位を容易に変換できる機能があるもの
<認知症老人徘徊感知機器>
認知症外出通報システム、離床センサーなど
<移動用リフト>
自力または車いすなどでの移動が困難な人のための工事不要の移動用リフト、バスリフトなど
対象介護度:要支援1,2、要介護1~5
<手すり>
工事不要で設置できる手すり、任意の場所に置いて使用できる手すりなど
<スロープ>
段差解消のための工事不要の設置・撤去できるものやスロープなど
<歩行器>
歩行を補う機能と移動時に体重を支える構造をもつ固定型歩行器や四輪歩行車など(シルバーカーは対象外)
<歩行補助つえ>
サイドウォーカー、松葉づえ、多脚杖(3~4本の脚)、ロフストランド・クラッチなど(一脚杖のステッキ(T字杖)などは対象外)
<自動排泄処理装置>
ベッドに寝たままの状態で排せつを処理する装置で、排尿、排便をセンサーで感知し、吸引・洗浄・乾燥を自動的に行う(レンタル対象は本体のみ)
※対象介護度・・・尿のみ吸引:要支援1,2、要介護1~5。尿と便を吸引:要介護4・5
このように目的・用途に応じて実に様々な種類・使い方があります。
また上記の対象介護度に合致しない軽度者であっても例外的にレンタルが可能になる場合があります。
これを「例外給付」といい、医師の意見に基づき福祉用具の利用対象像(下記のいずれか)に該当すると判断され、保険者である市区町村が特に必要と認めた場合は、レンタルが可能になります。
<軽度者の利用状態イメージ>
1.疾病などにより状態が変動しやすく、日または時間帯によって頻繁にその福祉用具が必要となる人
2.がんの末期などの疾病などにより状態が急速に悪化し、短期間のうちに確実にその福祉用具を必要となることが見込まれる人
3.疾病などにより身体への重大な危険性または症状の重篤化の回避など、医学的判断からその福祉用具が必要と認められる人
この「例外給付」を利用する場合は、ケアマネジャーに相談のうえ、保険者である市区町村に届出を行います。
シーンごとの福祉用具(介護用品)の選び方
次に、福祉用具(介護用品)の選び方の一例をご案内します。
【シーン(場面)に合わせて探す】
(1)歩いて移動する
例)杖、リハビリシューズ、シルバーカー、歩行器 など
(2)車いすで移動する
例)車いす、車いすクッション、スロープ など
(3)部屋で過ごす
例)介護ベット、マットレス、防水シーツ、床ずれ防止用具、体位変換用具 など
(4)排泄する
例)ポータブルトイレ、トイレ用品各種 など
(5)風呂に入る
例)シャワーチェア、浴槽内いす。シャワーキャリー、バスボード など
(6)見守る/知らせる
例)ナースコール(呼び出しボタン) など
(7)食事をする/便利に暮らす
例)介護食器類、食事用エプロン など
このように、入居様の状態に合わせ、シーン(場面)ごとに必要なものを理解し、ピックアップできることも入居相談業務を行う上でとても大切です。
また「福祉用具(介護用品)」への理解・知識が深まることで施設備品として用意できるものとできないものチェックが簡単にでき、入居者様ごとに何をご用意(ご持参)いただくかが明確になります。
ちなみに私は、新規ご入居があるときには、
・所定の入居時の持参物の他にお持ちいただくものが何か
・既にレンタル(又は購入)されている既存の用具を持込みするのか
・交換も含めて新たなレンタル品を持ち込むのか
などを確認して、「担当者会議」に参加する訪問介護のサービス提供責任者(サ責)へ伝えます。そしてサ責から施設の構造やベットの配置(向き)などを踏まえ、用具に対する意見・要望を関係者に伝えます。
このように入居相談の業務においても「福祉用具(介護用品)」への理解・知識を持っていることが必要だということをお分かりいただけたと思います。
もちろん私もまだまだ知識不足ですので…日々勉強していきたいと思います。